AFMマニュアル(基本編)
AFM観測用針のホルダーへの装着
針(プローブ)の選択
DNAオリガミを測定する際は、バッファーを使用して測定するため、液中用の針(scanAsyst-fluid)を選択する。
ケースの中には10個の針が入っている。1個選択し、ピンセットで針の真ん中の線が入ったあたりをゆっくりとつまむ。
※落としただけで針が折れてしまうので慎重に取り扱うこと。
プローブホルダーへの装着
ホルダーの裏にバネがついているため、それを片方の手で押さえながら、留め具部分を引き上げ、そこに針をゆっくりと差し込む。
※下の画像はair用です。液中用セルの代わりに指導用で使用しています。
AFM観測用サンプルの作成
マイカの手入れ
丸い金属プレートにマイカとよばれる雲母がはりつけてある。その上にはほこりや前回使用したサンプルが残っている可能性があるため、セロハンテープでとりのぞく。
強く押し付けると全部はがれてしまう可能性があるため、軽くはがす。セロハンテープを見るとマイカが1枚はがれたことが確認できる。
AFM観測用サンプルの作成
通常は、サンプルはDNAオリガミを1μL、バッファー(1×TAE(トリス酢酸、EDTA、酢酸マグネシウムが混ざったもの)を50μLのせる。
AFMの観測
AFM測定用ソフトの立ち上げ
測定モードの設定
DNAオリガミを測定するために、ScanAsystモード、Fluid(バッファーを用いるため)を選択する。
ScanAsystモードというのは、やわらかい物質を壊さずに測定するためのモードである。以下に特徴をしめす。
- プローブとサンプル表面が、一定の周期で近づき⇔離れるを繰り返す。
(振り幅はPeak Force Amplitudeで設定。デフォルト150nm。)
- サンプルと接触し、カンチレバーが変形し(反り)、Peak Force Setpointで設定した反り量になったら、サンプルから離れる。
- 1回ごとにサンプル表面から離れるため、摩擦の影響は受けない。
測定準備
- ①マイクロスコープのセットアップ
- A.サンプルを台にのせる(液体のため跳ねないようにする。)
- B.プローブホルダーを取り付ける(針がサンプルに当たらないように気を付ける。)
測定開始
以下のEngageのマークをクリックすると、測定(スキャン)が開始する。
選択した画像をスキャン
最後までスキャンが終わったら、zoomボタンを押して、四角で囲い、executeボタンを押して、スキャンする。
ファイル保存
ファイル名をつけて、以下のカメラのマークをクリックすると保存ができる。スキャンが一番下までいってから、画像がパソコンに取り込まれる。画像をクリックすると、自分が測定した画像を確認することができる。
測定終了
測定を終了するときは、以下のwithdrawを5回クリックする。(針がサンプルに近い場所にあるため、針を取り出す際に折れてしまう可能性があるため、マイクロスコープをある程度上に引き上げる)
マイクロピペッターの使い方
マイクロピペッターはピストンを上下することで内部の空気を出し入れし、ピストンの上下する距離を変えることで出し入れする空気の量を調整し、それによって液体の量を調整することができる。以下にマイクロピペッターの基本の使い方を記す。
- (1)マイクロピペッターとチップの種類
- (2)プッシュロッドとストップの場所
- (3)ダイヤルによる容量の指定
- (4)チップを差し込む方法
- (5)液体を吸う方法
- (6)液体を滴下する方法
- (7)チップを外す方法
(1)マイクロピペッターとチップの種類
計量する容量にあわせてマイクロピペッターとチップを選ぶ。
チップの種類はブルーチップとイエローチップの2種類がある。
マイクロピペッターは右から順番にP2、P20、P200、P1000である。
P2、P20、P200はイエローチップを使用し、P1000は少し大きいブルーチップを使用する。
測定可能範囲は、P2→0.2~2μL P20→2~20μL P200→50~200μL P1000→200~1000μL である。
(2)プッシュロッドとストップの場所
左に対して右のピペッターのプッシュロッドが下がっているがここを第1ストップと呼ぶ。(目もりの容量の部分でカチッと音が鳴る。)さらに押すともう一度カチッとなる部分がありそれを第2ストップと呼ぶ。これ以上は押し込むことができない。
(3)ダイヤルによる容量の指定
マイクロピペッターの目盛を必要量に合わせる。
(4)チップを差し込む方法
チップ立てに差さった状態のチップにマイクロピペッターを差し込み、ギュッと押し付ける、あるいはトントン軽く叩くように押し込むことで密着させる。(チップに素手で触れない)
(5)液体を吸う方法
①プッシュロードを第一ストップまで押し込み、チップの先端を溶液に浸ける。
②一呼吸おいた後、ゆっくりかつスムーズにプッシュロッドを戻し、溶液を吸い上げる。
(6)液体を滴下する方法
チップを液面から出し、ゆっくりとプッシュロッドを押し下げて溶液を出し、さらに第二ストップまで押し下げてチップの先端に残った液まで出してしまう。
(7)チップを外す方法
プッシュロッドをゆっくり戻し、チップの根元を指で持って少しひねるようにしながらイジェクターボタンを押し、チップを外す。